ゼラチンって何? 食生活改善研究協会 編
「ゼリーとかババロアとか洋菓子の素材として使われている材料」。でも、それだけではありません。ゼラチンは、カメラのフィルムや印画紙、医薬品材料のカプセル、接着剤など広い用途があります。そこで、ゼラチンと人類との沿革を見てみましょう。
ゼラチンと人類の出会いは、古く、古代エジプトに遡り、膠製造にあるといわれています。
ピラミットからの出土品の棺、調度品、美術工芸品をみても、古代エジプトでは接着剤としてゼラチン成分を使用していたことが解ります。膠(ゼラチン)と人類は有史以来の付き合いだったわけです。現在のように工業的に生産されるようになったのは、1700年代頃で食用のゼラチンの出現は、膠生産に遅れること百年、1800年代からです。その後も医薬品、写真用、工業用と用途を広げ、今日に至っています。
ゼラチン豆知識
コラーゲンとゼラチン
ゼラチンは、動物の骨や皮に含まれているコラーゲンという蛋白質から作られます。コラーゲン分子に熱を加えると、3本の分子の絡みが崩れバラバラになりますが、それがゼラチンです。
ゼラチンの成分
ゼラチンの主成分はコラーゲン由来の蛋白質で、全体の86%以上を占めています。以下は水分の12%、灰分となっています。
アミノ酸組成
ゼラチン内の蛋白質は18種類のアミノ酸で構成され、その内容としては、トリフトファンを除くすべて必須アミノ酸が含まれています。とくにリジンの含有は際立っています。
ゾル・ゲル変換
ゼラチンは熱を加えると溶けて液体となります。(ゾル)しかし、冷やすと固まってゼリー状になる。(ゲル)。この変化は、加熱、冷却によって繰り返すことが可能で、ゼラチンのこの特性は、食品他、さまざまな分野で生かされています。
皮膜形成能
ゼラチンの溶液を乾燥させると、強い皮膜を形成します。この皮膜は包まれた内容物の酸化、吸湿を防ぎます。またそれを水に浸漬させると水を吸収し、熱を加えれば容易にとけます。(食品、医薬品に使用されているカプセルなど)
ゼラチンの溶液は、気泡性がありそれはまた、安定性を持っています。
ゼラチン・コラーゲンの体内での生理機能性と疾病予防作用
そもそも、人の体内には、コラーゲンを産生する機能を持った細胞があり常に細胞外にゼラチンを放出しています。放出されたゼラチンは放出された部位の細胞外マトリックスに従って必要なコラーゲンに生成されます。皮膚には皮膚に相応しい型のコラーゲン、筋肉には筋肉相応しい型のコラーゲンが生成されるわけです。人間だけではありません。動物の全てが、このようなメカニズムで産生、生成をおこなっています。私たち使用しているゼラチンは、このように生成された、豚や鳥の骨や、皮のコラーゲンを加熱することによりコラーゲン組成を解し、ゼラチンに戻したものなのです。
人としては、コラーゲンの生合成をする機能を持ち合わせているのですから、その機能が正常に働いていれば栄養としてわざわざ補給する必要はない筈ですしかし、人は加齢に伴ってゼラチン・コラーゲン生成能力が衰えますので、経口補給が行われないと、若いときのようにはいかなくなり、皮膚にはシワ、筋肉はやせ、骨はもろくなります。要するに外見からも「老化」を知らされる状態です。
体内で作られたコラーゲンの生理機能を概括的にまとめてみると、細胞外マトリックスの支柱としての役割です。自らは細胞内成分でないにもかかわらず多くの細胞外物質群のはたらきのリーダー・シップの役割です。
最近、「老化」をともなう疾病には必ず体内コラーゲンの生理機能の減退が論じられるようになってきましたが、当然といえば当然です。ゼラチン摂取の必要性は、健康、予防、医療の広範な領域に及ぶことがわかってきたのです。その一例を上げてみましょう。それは骨粗しょう症の予防に果たしたゼラチンの活躍です。ゼラチンを常時、一定量摂取することで骨密度の減少傾向にブレーキがかかり骨粗しょう症の進行が抑制されたという研究事例です。骨は、鉄筋コンクリートにたとえれば燐酸カルシウムの鉄筋にコラーゲンを流し込んだようなものだし、関節に至っては、コラーゲンとグルコサミン、コンドロイチンで形成されているといっても過言ではないのですから、コラーゲンは、骨の老化抑制には不可欠なものなのです。皮膚については、巷間大いに話題になっているので説明を省きます。